仙台と聴衆

皆さんは、横山彦平さんという方をご存じでしょうか。すでに亡くなられて20年余が立ちますが、青葉区柏木で醸造業を営みながら、テレビにコメンテーターやタレントのような活躍をなされていました。
この方は仙台弁の保存、普及に力を入れられ、とても楽しい方でした。生前に詠まれた一句『おだつなと目でごしゃがれるお葬式』(「仙台弁句辞典」より)。

この横山さんは宮城フィルハーモニー管弦楽団(現 仙台フィルハーモニー管弦楽団)がプロオーケストラ化した昭和53年(1978)に、地元紙に寄稿します。

『仙台の街にプロのオーケストラが出来たことは、素晴らしいことだ。演奏はウィーンフィルやベルリンフィルには及ばないかもしれない。しかしこの街にオーケストラがあることは、日常にオーケストラの音楽に親しみ、身近に音楽があることになる。街にとって大切なことである…』(要旨)

今、横山さんの言われたことは、定期演奏会だけではなく、オペラや室内楽、リサイタル、様々なテーマを持った演奏会、コンクール、ジュニアオーケストラの指導、そして若年層へのしっかりした音楽教育(楽器演奏など)の提供となって、具体的に花開いています。
何より仙台フィルとなって聴衆を育ててくれたような気がします。次は聴衆がこれに応え、楽しみから奉仕や貢献へ、音楽による感動を周囲に伝え、オーケストラ音楽を広めるための役割を果たす時なのではないでしょうか。

№45 長島榮一

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