仙台とコンサートホール

新たな音楽ホールについて仙台市では有識者の懇話会において、席数や建設候補地などが審議されていることが、1月に報道されました。その中ではオーケストラが利用するコンサートホールとしての視点が含まれてはいませんでした。コンサートをする上で制約を受けるようなホールであってはならないと思うのです。最も重要なことはレパートリーの制約を受けることです。①パイプオルガンがあるのか、②合唱団の定位置での配置が可能なのか、また③オペラへの適応性があるのか。

③は別と考えたのが札幌市で、オーケストラのコンサートはkitaraホール、オペラは札幌芸術劇場hitaruでの機能です。しかし①、②は分離することはできません。音楽ホールにこの要素が欠けたなら、オーケストラの機能を充分に発揮することはできないでしょう。当然プログラムに制約を受けるのですから、オーケストラの収益性を論じることは的を得た話ではありません。

古典からのオーケストラ作品はもちろん、宗教音楽、R・シュトラウスなどの大編成の曲目、ギルマンやポリャックのオルガン協奏曲のような、あらゆるプログラムが演奏可能なコンサートホールでなくては、地元オーケストラの維持、発展に、さらに来仙するオーケストラの利用頻度の減少を招くなど、影響が大きいのではないでしょうか。聴衆の皆さんに愛される音楽ホールでは、マーラーの「復活」やR・シュトラウスの「英雄の生涯」の様な曲が編成を変えることなく、楽譜どおりに演奏されて当たり前なのではないでしょうか。そのようなこけら落としを夢見ております。

これからの仙台の音楽事情が制約を受けることがないよう、また次世代の音楽体験が制約されることがないような音楽ホールを強く望むものであります。

№45 長島榮一

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